NPO法人のすすめ |
■NPOとは?
現在、多くのボランティアの方が、被災地の復興や介護などに携わっておられますが
それらのボランティアの方の支援組織としてNPO法人という言葉を最近よく聞きませんか?
ところで、皆さんNPO法人ってご存知ですか?
NPOとは、「Non-Profit Organization」の略称で「非営利組織」または「非営利団体」
と訳されています。
NPO法人というのは、これらのNPO団体に対して法的な法人格を認めたものです。
NPO法人は阪神淡路大震災をきっかけに、活発な活動をする市民活動団体が比較的簡単に
法人格を取得できる制度を設けるべきという声があがり、議員立法で成立した特定非営利活動
促進法(1998年12月施行)により正式に認められた比較的新しい組織形態です。
その後NPO法人は、多くの関係者の注目を集めることとなり、2004年6月末現在17,404
の団体がNPO法人としての認証を受け、ボランティア活動やスポーツ振興活動など様々な
形の公益活動を行っています。
参考までに似た言葉でNGOという言葉もよく聞きますが、これは「Non-Governmental
Organization」の略で、国同士の取り決めによらない、民間の国際協力団体です。
近年では地球規模のいろいろな問題の解決に非政府・非営利の立場で取り組んでいる市民主導
による国際組織ならびに国内組織を「NGO」と一般的に総称しています。
さて、なぜ私がNPOをおすすめするのかといえば、現在いろいろな分野でご活躍の方が自分
のスキルを生かした事業を始めようとする場合、個人事業や株式会社、有限会社などで事業を
起こす方法と別にNPO法人を作って事業をする方法があるからです。
NPO法人というのは、多くの方がボランティアの組織と考えていらっしゃいますが、
実際は事業で利益を上げることも役員や社員に給与を払うことも可能です。
但し、余剰金は全て事業資金に宛てる必要があります。そして、社員は当然社会保険の適用も
受けられます。
私の所属している、日本ファイナンシャルプランナーズ協会もNPO法人です。
ここでは、NPO法人のメリットと法人を作る要件を簡単に説明します。
■NPO法人の概要
ここで、一度NPO法人の法人格としての位置付けを整理しますと(表1)のとおり民法34条
で規定された公益法人に近い位置付けとなり、制度上の比較をすると(表2)のとおりとなります。
T.法律上の法人分類
(表1) |
<非営利> | 法人の種類 |
民法34条法人 (公益法人) |
社団法人 |
財団法人 | |
特別法人 (広義の公益法人及び非営利法人) |
学校法人 |
宗教法人 | |
医療法人 | |
特定非営利活動法人(NPO法人) | |
<営利> | 法人の種類 |
民法35条法人 (営利法人) |
株式会社 |
有限会社 | |
合名会社 | |
合資会社 |
U.NPO法人と株式会社・有限会社・任意団体との比較
(表2) |
法人格 | NPO法人 | 株式会社 | 有限会社 | (任意団体) |
根拠法 | 特定非営利活動促進法 | 商法 | 有限会社法 | 規定なし |
法人の目的 | 公益 | 営利 | 規定なし | |
事業 | (1)特定非営利活動に係る事業 (2)その他の(収益)事業 |
規定なし | 規定なし | |
設立手続 | 所轄庁による認証 設立登記 |
公証人の認証 設立登記 |
不要 | |
資本金 | 不要 | 1,000万円以上 | 300万円以上 | 不要 |
社員数 | 10人以上 | 規定なし (1人以上) |
1人以上50人以下 | 規定なし (1人以上) |
理事数(取締役) | 3人以上 | 3人以上 | 1人または数人 | 規定なし |
監事数(監査役) | 1人以上 | 必ず置く (大会社3人以上) |
1人または数人 | 規定なし |
剰余金の分配 | なし | あり | 規定なし | |
課税対象 | 収益事業による所得 | すべての所得 | すべての所得 | |
法人税率 | 30% (所得800万円以下22%) |
30% (所得800万円以下22%) |
所得税 対象となる |
(2)NPO法人のメリットとデメリット
(表3) |
メ リ ッ ト |
団体が契約の 主体になれる |
団体名で契約行為が可能となり、団体名で事務所の賃貸契約等が締結できる。 また、団体名で銀行口座を持つことも可能となり個人と団体との資産を明確に分離でき金銭面がクリアとなる。 また契約に伴うリスクは、団体の資産の範囲内で負うに留まる。 |
団体が資産 を持てる |
車両、事業用不動産といった活動に必要な資産を取得することが可能となる。そのため、大規模な公益事業を推進することも可能となる。 任意団体の場合、個人の名義で取得する必要がある。 |
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代表者の交代が円滑になる | NPO法人は、団体が資産を保有できるため、代表者交代の手続きが円滑に出来る。 任意団体では代表者が死亡した場合には、その資産は代表者の家族が相続することとなり、団体の資産が消滅してしまう恐れもある。しかし、法人化することにより団体の資産がそのまま団体に残すことが可能。 |
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資金調達が 容易になる |
国や各地方公共団体、公的金融機関等が積極的にNPOの支援に取り組んでおり、各種助成金、補助金等の融資を受けやすくなる。 NPO法人への寄付金に対して税制上の優遇措置があるため、資産家からの寄付が受けやすくなっている。 また、銀行口座を団体名で持てるので、銀行からの融資も可能。 |
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公共事業への 参加が容易になる |
入札参加申請を行うことにより、国や地方の発注を受けて公共事業に参加することが可能で、一部事業ではNPOに発注する確立が高くなっている。 そのため、社会の一翼として重要な事業に参加するチャンスが広がる。 |
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従業員を雇える | 各種活動を行うために必要な職員を雇用することができるのでボランティアの方だけに頼らない組織的な活動ができる。 もちろん、厚生年金や健康保険、雇用保険にも加入することもできる。 |
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社会的信用が 高まる |
法人設立により、権利・義務の主体が明確になるため、各種取引における信用が高まるのはもちろんのこと、政府の認証を受けたNPO法人ということで、国家のお墨付きということとなり、組織内容や活動内容においても高い信用を得ることができる。 | |
デ メ リ ッ ト |
設立申請手続 きが面倒 |
NPO法人を設立するためには、かなりの量の申請書類や会計書類を作成しなければならないため、多くの手間と時間(約4ヶ月)がかかる。 |
毎年の 事業報告義務 |
毎年、前年の詳細な活動報告や各種会計書類を作成し、官庁に提出する義務がある。これらのために、日頃から事務作業に手間がかかる。 また、代表者や役員が変更となった場合、法務局に変更登記を申請しなければならない。 |
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活動内容に 制限を受ける |
法人化により、事業内容は定款の制限を受けることになる。 | |
納税義務を負う | 収益事業は、課税対象であり納税義務が生じる。ただし、会費や寄付金による収入は非課税。 収益事業を行っていない場合でも、法人住民税として年間7万円の納税義務を負う。但し、毎年4月に減免のための手続をすれば免除されることがある。 |
(3)NPO法人設立の要件
T.活動の目的
NPO法人は所轄官庁の認定を受ける必要があり、その活動の目的は(表4)の17分野に
限られています。しかし、多くの事業目的はいずれかの分野に入るのではないでしょうか。
(表4) |
1 | 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 | 介護サービス、盲導犬の訓練、障害者支援グループなど |
2 | 社会教育の推進を図る活動 | 書道教室、パソコン教室、ガーデニング教室など |
3 | まちづくりの推進を図る活動 | 伝統文化の保存活動、村おこし運動、商店街の振興活動など |
4 | 文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 | 演劇サークル、音楽サークル、スポーツサークルなど |
5 | 環境の保全を図る活動 | リサイクル運動、緑化運動、環境に優しい製品の製造・普及など |
6 | 災害救援活動 | 地震・風水害時の救援活動、アマチュア無線による災害時通信支援、バイクによる物資輸送など |
7 | 地域安全活動 | 交通安全の勉強会、被害者救済活動、違法な団体の監視活動など |
8 | 人権の擁護又は平和の推進を図る活動 | 裁判支援、平和運動、駆け込み寺など |
9 | 国際協力の活動 | スポーツ・文化の国際交流、留学生の受け入れ支援、海外食料援助など |
10 | 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 | 男女差別撤廃運動、セクハラ防止活動、子育て後の再就職支援など |
11 | 子どもの健全育成を図る活動 | 学童保育、少年スポーツチーム、こども自然教室など |
12 | 情報化社会の発展を図る活動 | |
13 | 科学技術の振興を図る活動 | |
14 | 経済活動の活性化を図る活動 | |
15 | 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 | |
16 | 消費者の保護を図る活動 | |
17 | 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動 | NPOの連絡協議会、NPO関連書籍の執筆・出版、NPO向けホームページの作成など |
U.その他の設立要件
さらに、(表5)の要件を満たす必要がありますので、全てに当てはまる場合、NPO法人の設立を
考えられては如何でしょうか。
(表5) |
1 | 特定非営利活動(17分野)を行うことを主たる目的とすること |
2 | 営利を目的としないものであること。 但し、収益事業が認められないということではなく、収益の余剰金を役員等に配分することが認められないということです。 |
3 | 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。 例えば、入会金50万円以上とか、○○高校卒業者のみとした場合が該当します。つまり、会員として参加できる者が限定されてしまう条件を付けた場合、NPO法人として認められません。※但し、活動目的を理由とした合理的な条件は認められます。 例えば、専門的資格を必要とする活動(医療活動等)を行う場合の医師等の資格条件が該当します。 |
4 | 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること |
5 | 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと。 (宗教関係者が集まり学童保育等を行う場合は、主目的が宗教的活動とはならないため、問題ありません。 政治的活動としては、自由主義・共産主義等の政治上の主義を推進する活動を主な目的として行う場合、NPO法人としては認められません。ただし、政治上の「施策」の推進や政治提言を行うことは問題ありません) |
6 | 特定の公職者(候補者を含む)または政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと。 |
7 | 暴力団でないこと、暴力団又は暴力団員の統制の下にある団体でないこと。 |
8 | 役員として、3人以上の理事、1人以上の監事がいること |
9 | 10人以上の社員(会員)を有すこと。 役員と社員を兼ねることも可能です。 |
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